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船乗りのメリット・デメリット

こんにちは、ノマド航海士のナオマツモト@naosuke_shipです。

近頃、僕が航海士だと伝えると嬉しいことに船に興味を持ってもらえ、こんな質問をよくいただきます。

 

キリンくんA
キリンくんA
船乗りの良いとこ、悪いとこを教えて!
キリンくんB
キリンくんB
船乗りになってよかった?

 

どんな職業にも良いところ、悪いところがあると思います。自分に合った職に就くためにもそこをしっかりと理解しておきたいですね。今回は船乗りのメリット・デメリットについて答えます。

それではいきましょう!

※ここでは内航船に絞らせていただきます。外航船はまた違ったスタイルとなります。

◎内航船とは日本国内のみを航海する船のこと

◎外航船とは海外航路を航海する船のこと

船乗りのメリット

船乗りのメリットは山ほどあります

その中でも特に魅力的だと言われるものは下記のようなものになります。

  1. 長期休暇
  2. お金が稼げる
  3. 食費0円
  4. 光熱費0円
  5. 通勤時間0分
  6. いろんな場所に行ける
  7. 覚えられやすい
  8. 趣味に没頭できる
  9. 壮大な自然を感じれる
  10. 乗り物のスケールが大きい

長期休暇

なんといっても一番の魅力は長期休暇!

まとまった休みが一ヶ月もあると好きなことは大体できますね。このために船乗りになったという人もいるくらいです。年に3回夏休みがある(3ヶ月乗船の場合)と思うとなんだかテンションが上がります。

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お金が稼げる

船乗りはお金を稼げます。普通に3ヵ月乗れば100万円がある状態で休暇を過ごすことができます。

船乗りは金遣いが荒いと言われる理由は、乗船期間中にお金を使う機会があまりなく、3ヶ月働いた分を休暇中に一気に使ってしまうからです。

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食費0円

乗船中の食費は0円です。

商船において食料は船舶所有者(会社)が支給します。船にもよりますが、1人あたり3万〜4万円/月が支給されます。食事は司厨士が乗船していない場合、自分たちで作ります。

※基本的に自分が食べるお菓子飲み物(ジュース、アルコール類)などは自腹となります。

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日用品(一部)、光熱費0円

船内での日用品(洗濯洗剤、ティッシュ、トイレットペーパーなど)は船で支給されます(一部限りでない)。そして発電機が常時回っているので、船内は24時間空調完備です。

もちろん光熱費0円

通勤時間0分

船乗りに満員電車は関係ありません

顔洗って作業着に着替えて自室のドアを開ければ即出勤です。

日本各地いろんな場所に行ける

日本各地の港に荷物を運ぶのでいろんなところに行くことができます

乗船期間中にも休日があり、そのタイミングで観光ができるので旅好きにはたまりません。大分で休みがあれば温泉、香川で休みがあれば金比羅山を登ったり、うどんを食べたりということができます。

家族に現地のお土産を送ることもできますね。

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覚えられやすい

初対面の人に「船乗りです」と話すと質問攻めにされることが多く、まず会話に困ることはありません。

ほかには、一度行ったバーに半年ぶりに行っても「船乗りの人だ!」と覚えてもらえてることが多いです。これは船乗りならではのメリットだと思います。

趣味に没頭できる

船内でも休日や空き時間があるので趣味に没頭できます

読書、ギター、筋トレ、釣り、イラスト、小説を書くなど家でできる趣味との相性がいいです。特に釣り好きに船はたまりません。

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壮大な自然を感じれる

どこまでも続く水平線、クジラ、トビウオ/イルカの群れ、満天の星空と流れ星、幻想的な夜光虫による青白い航跡など。。日常的にこういったものが見られると、船乗りでよかったなぁと思えます。

◎太陽が沈む瞬間に緑色になるグリーンフラッシュという現象も運がよければ見ることができます。

乗り物のスケールが大きい

船という圧倒的にでかい乗り物を自分が動かしているという快感はすごいです。

船がどのくらいの大きさかを説明すると、内航船で多い499t(60m)というサイズは、20階建ての高層ビルに相当します。それをそのまま横にして海に浮かべているという感じです。

船を操縦するという責任感は凄まじいですが、とてもやりがいがあります。

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船乗りのデメリット

メリットと同じく、船乗りのデメリットは山ほどあります

その中でも特にデメリットだと言われるものは下記のようなものになります。

  1. 人間関係が難しい
  2. 生活が不規則
  3. 労働時間が長い
  4. 家に帰れない
  5. 行事に立ち会えない
  6. 危険が伴う
  7. 電波が弱い
  8. 彼女ができない
  9. 船酔いがきつい
  10. 逃げ場がない

人間関係が難しい

一番の問題は人間関係です。コミュニケーションの問題でもありますが10代から60代(稀に70代もいる)の船員が乗っているので、年齢が離れすぎてまず話が合いません。そしてどんなに嫌な人とも毎日顔を合わせなければなりませんので、これがかなりのストレスになります。

港に着いて、新米船乗りの部屋を見にいったら荷物がなくなっていた(逃げ出した)なんてことも珍しいことではありません。

逆にいえば人間関係がクリアできれば、船内生活は楽しいです。休暇が少なくても、給料が高くなくても、人間関係さえよければ不思議と肉体的にも精神的にも辛くないものです。

生活が不規則

航海中の航海士の仕事としてワッチ(見張り)というものがあり、3交代制で1人が4時間×2行います。

航海士A(ゼロヨン)
→0000〜0400 1200〜1600

航海士B(ヨンパー)
→0400〜0800 
1600〜2000

航海士C(パーゼロ)
→0800〜1200 
2000〜2400

これにより、例えば航海士Aの場合だと、

0000 ワッチ開始
0400 ワッチ終了、就寝
0700 起床、荷役準備
0800 荷役開始(約4時間)
1200 荷役終了、そのままワッチ
1600 ワッチ終了、次のワッチ(0時)まで休息

ということになります。船によって固定ワッチ制変則ワッチ制というものがあり、固定ワッチは今の例通り乗船期間中ずっと担当ワッチの時間帯は変わりません。

それに対し、変則ワッチは出航時間、ワッチをとった時間などにより時間帯が変わります。悪い時間帯の時もあればいい時間帯の時もあるので、個人的には変則ワッチがおすすめです。

労働時間が長い

先ほどのワッチをみて分かるように、労働時間が長いです。

通常の運行に加え、荷役作業、保守点検、ペンキ塗り、ロープの手入れ、書類関係、船内清掃などやることが山ほどあります。なので必然的に労働時間は長くなります。

さらに、乗船中は休憩中であっても緊急時のために24時間待機しているような感覚です。

家に帰れない

乗船期間中は基本家に帰ることができません。

今ではスカイプやラインがあるので連絡手段は困りませんが、3ヶ月家族と会えないというのはやはり心配であり寂しいですね。そして家族の緊急時にすぐ帰れないというのが、船乗りの辛いところでもあります。

そのほか、飼っている犬(ペット)が自分に懐かないのも辛いです。

行事に立ち会えない

運良く休暇中であれば話は別ですが基本、出産、友人の結婚式、忌引き、同窓会、子供の運動会などには立ち会えないと思った方がいいです。もちろん、クリスマス、GW、お盆、元旦なども船乗りには関係ありません。

休暇日が決まっていても、台風や交代の船員が来ないなどの理由で下船できない場合があります。確実に休暇日に下船できる保証がないので、旅行などの予定が決めづらいというのもあります。

危険が伴う

船には多くの危険が潜んでいます。

クレーンの操作や日々の作業など、船員同士気をつけていても事故は起こることがあります。しっかりと危険予知を行い、常に気を引き締める必要があります。ベテラン船員は陸から船に乗った瞬間に意識が変わります

怪我なく休暇を迎えるためにも、初心の心を忘れず他の船員の話を聞くなど謙虚な姿勢が大事ですね。

電波が弱い

海上での電波状況はまだ陸のようにはいかないのが現実です。しかし、徐々に改良されてきているので、電波の問題はそんなに遠くない将来解消されると思われます。

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恋人ができにくい

これはもちろん人によりますが、船乗りという職の理解を得るのがなかなか難しいからですね。3ヵ月間会えないというのはやはり寂しいというのが一般的でしょう。

さらに船乗りは浪費グセがあることが多いので、そのあたりの理解も必要かと思われます。

船酔いがきつい

船乗りでも船酔いする人がいます(自分)。

船に慣れないうちはかなりしんどいですが、船酔いを軽減する方法はいくつもあるので片っ端から試してみるとすこしは楽になります。

船酔いは精神的なものから来ることが多く、役職がつくと責任感から船酔いしなくなることもあります。

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逃げ場がない

なにがあっても航海中は逃げ出すことができません

荒天時には、船が信じられないくらいに揺れますがその中でもしっかり職務を全うしなければなりません。

逃げ場がないというのは精神的にかなりくると思います。しかし、いくつもの荒波を乗り越えてきたというのは自信にもなりますし、船乗りの醍醐味でもあります。

船乗りのメリット・デメリットまとめ

人によってはデメリットがメリットになることもあり、その逆もあります。

僕はいろんなことを差し引いても船乗りになってよかった!と思います。もともと小さい頃から船が好きだったことや、旅好きな自分の理想生活スタイルを実現できるからです。

この記事を読んで、少しでも船に興味が湧いたのであればとても嬉しいです。やる気と船に乗りたい、船が好き!という気持ちがあれば年齢も関係ありません。

いつか、海上でお会いできることを楽しみにしています!

 

ではでは、ごきげんよー!